「第70回サンレモ音楽祭を前にして」

2月4日~8日かけて開催される第70回サンレモ音楽祭、今回はアマデウスを芸術監督に迎えて行われます。毎年必ず何か問題が発生するのもイタリアらしい風景ですが、今年はかなりいろいろあります。パレスチナ出身の女性ジャーナリストRula Jebrealさんを招待することに目に見えない妨害が入るとか。いわゆる現在のイタリアで次第に存在感を増している移民出身の新イタリア人に対する差別があるのかもしれません。また女性蔑視と解釈できるアマデウスの発言が議論を呼ぶなど… 一つ一つの発言に注意が必要な時代ですね。
 ここでも繰り返し書いていますが、若い世代に人気のラップも今やサンレモ音楽祭に欠かすことはできません。一般にラップの歌詞にはスラングが多用され、中にはちょっと聞くに堪えないようなものもあります。Bigレース参加者、ローマ出身のラッパーJunior Callyの歌詞の一部も問題視されています。音楽祭の参加曲を評論家たちが事前に聴くのですが、その時件の歌詞はイタリア人の大部分にとって倫理的に受け入れられないと酷評されました。「彼女の名前はジョイア(喜び)、半裸で踊ってお前喜びをくれる…」、「彼女を殺してバックを剥ぎ取る、俺はマスクを被り直す…」といった歌詞はラップ界では問題にならないものでも全世代が視聴するサンレモ音楽祭には相応しくないと評されたのです。結局、問題の曲は彼の若いころの曲Stregaの歌詞であり、今とは曲のテーマが違うということでBigレースに参加することに問題はないでしょう。
 また開催2週間前になってモニカ・ベルッチが不参加を表明しました。アマデウスと共に特別な演出が期待されていたのですが、企画がまとまらなかったようです。ベルッチ側から不参加が表明されました。さて、今回のサンレモ音楽祭は開催前から波乱含みですね、音楽祭幕開けまでまだ何かあるかもしれません。すべて終わった後で、いろいろなスキャンダルも良い宣伝になった、という結果になればいいのですね。