「第70回サンレモ音楽祭」
2月4日~8日にわたって開催されたサンレモ音楽祭は、平均視聴率60,6%(47万6千人が視聴)という驚異の数字を叩き出し大好評のうちに幕を閉じました。前回はクラウディオ・バリオーニが芸術総監督兼司会者を務めて大好評だったのですが、その記録を超えるかどうか今回の芸術総監督兼司会者アマデウスはかなりの重圧を見事跳ね返したということですね。新型コロナウイルス問題もイタリアでの発症数はまだ3人ということで、音楽祭延期や中止が検討されることもなく予定通りに行われたわけです。ちなみに中国への飛行機はすでに全便中止されていて搭乗予定者には払い戻しが始まりました、また中国から帰国したイタリア人の検査はまだ完了していない状況です。
 さて、音楽祭のメインレースはSezione Campioni(チャンピオン部門)別名Big部門とも呼ばれます。これ以外に音楽祭初参加部門というべきSezioni Nuove Proposte(新提案部門)があります。メインレースの参加アーティストは24組で優勝者はDiodatoの“Fai ruomore(音を立てて)”、2位にFrancesco Gabbaniの“Viceversa”、3位はPinguini Tattici Nucleariの“Ringo Starr”でした。初参加部門では参加アーティストは8組で、Leo Gassmannの“Vai bene cosi’(これでいい)”が優勝、2位はTeclaの“8 marzo”でした。参加者のインタビューや歌は公式ホームページhttps://www.rai.it/programmi/sanremo/で見られます(YouTubeでも公式映像は数か月で見られなくなるので視聴はお早めに)。
 今年はカラビニエリ(憲兵隊)音楽隊創立100周年ということで、最終日のショー幕開けはカラビニエリ音楽隊が奏でるイタリア国歌(イタリア語では国歌はinnoといい、canzoneではありません。作詞Goffredo Mamelli、作曲Michele Novaroで“Il canto degli Italiani”といい1847年に作られました)で始まりました。カラビニエリは、現在は警察組織に属していますが、その創立は最も古くサルデーニャ王国時代に遡り、後にイタリア王国軍、イタリア共和国軍を経て現在の組織形態になりました。王政時代のフランス憲兵隊をほぼそっくりに作られているため実際の組織は今でも警察ではなく軍隊です。一応警察組織の一部なので緊急通報番号は112、イタリアでは暇だからって赤色灯をつけてサイレンを鳴らしながら走っている警察車両がいますが、いたずら電話はやめましょう。
 閑話休題
 チャンピオン部門の優勝者Diodatoはアオスタ出身の38歳、現在はミラノ在住。優勝曲“Fai rumore”は友人でシンガーソングライターのCoez曰く婚約者Levante(シンガーソングライター)に捧げられたものだそうです。2014年に新人部門でサンレモ音楽祭初参加(曲は“Babilonia”)、2018年はチャンピオン部門に参加(曲は“Adesso”)して、今回の優勝は3度目の正直といったところでしょうか。
 一方新人部門の優勝者Leo Gassmannはローマ出身で若干21歳の若さ!第12回X Factoreに参加して注目を浴びてデビューしました。昨年行われたSanremo Giovani 2019
で審査を勝ち残り、今回のサンレモ音楽祭に初参加で優勝しました。優勝曲はアルバム“Strike”に収録されています。
 優勝を逃した曲にもけっこう良い曲があります。ぜひ視聴してくださいね。