「新型コロナ禍はだいぶ収まってきました」

日本では感染者が増えてきて心配ですが、12月7日のイタリアの感染者は13,720人、死者528人でした。感染が最も深刻な州を赤、中程度の州をオレンジ、そして最も軽度な州を黄色に色分けして感染対策を進めてきた効果がはっきり表れています。一時は4万人にまで届くほど一日の感染者が増えたのですが、部分的にせよ人の移動を制限すると瞬く間に感染者が減少します。日本と比べるとけた違いに多い感染者数ですが基本再生産数も1以下になり社会全体にピークを越えた安心感が漂っています。
 さて欧州全体で関心の的だったクリスマスの過ごし方ですが、3日に3回目の大統領令が発令されました。州により異なりますが黄色の州には12月20日までは自由に出かけられます。12月21日~1月6日間にイタリアに入国する旅行者(イタリア人を含む)には10日間の検疫期間が義務付けられています。例えばスイスやオーストリアにスキーに行く場合、行きはOKで帰りは10日間の検疫となるわけですね…この時期旅行に行く人っているのでしょうか?レストランやお店は21時まで開いているので、当初心配されたように路上に人っ子一人いない寂しいクリスマスは免れましたけれど、家に人を招いたり招かれたりは厳禁です。いつもは大騒ぎになる大晦日も夜10時から7時まで外出禁止、場合によっては道路封鎖もあるかもしれません。専門家の予想では感染第3波は1月ということで、政府としてはそれをなんとしても防ぐ狙いがあります。
 12月7日からイギリスで新型コロナの予防接種が始まり、イタリアの報道はどこか物欲しげです。ちなみに真っ先に予防接種を受けの人は、北アイルランド人の90歳のおばあちゃまでした。
 さて話をイタリアに戻すと、経済対策の一環でクレジットカード、バンコマット、アプリで買い物をした場合10%のキャッシュバックがあるキャンペーンが始まりました。キャッシュバックは最大150€まで、ということで早くも「こうすれば300€まで返金してもらえる」など制度を200%活用する方法がネットで盛んに言われています。もっともアプリはまだ使えないらしいですが… 外食産業や農業など軒並み新型コロナ発の不況に見舞われているので、政府としては迅速な融資&個人の消費を喚起する政策の2本立てで対応しているというわけですね。キャッシュバックキャンペーンは12月31日まで。日本からでも利用できるかな?
 新型コロナ禍のどさくさに紛れてミラノのユヴェントスに入団予定のウルグアイ人のルイス・アルベルト・スアレス選手がペルージア外国人大学でイタリア語能力検定試験を受けた際不正があったとして非難されています。しかもユヴェントスが組織ぐるみで不正をした疑惑もあるのか、弁護士まで捜査対象になっています。スアレス選手はユヴェントスでプレーするのと同時にイタリアの国籍も取得しようと動いていたようですね。新型コロナ対策でテストが簡略化され、感染予防のため監督官もいない部屋で単独受験したということです。テスト問題もあらかじめ分かっていたので、スアレス選手は答えを暗記するだけだったとか…いくらサッカー選手でもやっぱり不正はダメ、ということで現在ペルージア検察が捜査しています。そうこうする間にユヴェントスはスアレス選手を取らない事にしたというニュースが入ってきました。これ以上検察に組織を探られないようにするためでしょうか。ペルージア外国人大学のアビリティ・テストはウルグアイの公用語であるスペイン語が母国語の人にとってはとても簡単なはずです。パスポート取得のため念には念を入れて不正したとしたら、結局ユヴェントスにも捨てられて愚かなことをしたものですね。
                        それではまた。皆様良いお年を。
                                  (唐木麻美)