「オリンピックとパラリンピック」

色々ありましたが東京オリンピックが終わり、そろそろパラリンピックが始まります。日本同様イタリアも過去最多のメダル獲得でした。1932年のロスアンゼルス・オリンピックと1960年のローマ・オリンピックのメダル獲得数36個を抜いて史上最多なので、開幕当初は盛り上がりに欠けたイタリア・メディアの対応も中盤から一気にヒートアップしました。特にマルセル・ヤコブスが陸上競技100m走で金を獲得したときは、各メディア「ボルトの後継者」の見出しを掲げ一晩で変わった熱狂にびっくりしました。ヤコブスはアメリカ人の父とイタリア人の母を持つ、いわゆるハーフですが生後数日で軍人の父は韓国に旅立ち、残された母はイタリアに帰国したので父親との関係は希薄で英語は得意ではないということです。Wikiではヤコブスではなくジェイコブスと英語の発音が書かれていますけれど、彼自身の生い立ちとアイデンティティを考えると英語読みは違和感がありますね。その他、伝統的に強いフェンシング、自転車、ヨットなどイタリア人選手は大活躍しました。印象深いのはレース前の自転車チーム(4人)が日本の暑さを嘆く動画でしたが、暑さと湿気をはねのけて見事に金を取りました。
24日から始まるパラリンピックではイタリアからは113人の選手が参加します。注目はフェンシングのベアリング・マリア・アデレード・マルツィア・ヴィオ選手、通称ベベ・ヴィオで親しまれています。彼女は車いすフェンシングのオリンピック金メダリストで欧州世界チャンピオンですが、笑顔がとてもチャーミングな若い女性でもあります。ベベ選手は1997年ヴェネツィア生まれ、兄と弟に囲まれて5歳ごろ頃フェンシングを習い始めました。11歳で髄膜炎を患ったとき感染症が原因で両腕両足が壊死したため切断を余儀なくされ、3か月半の入院生活が終わって学校に復学、理学療法とリハビリに励み、発病から僅か1年でフェンシングに戻りました。以降、車いすフェンシングを広く知ってもらうために積極的にメディアに登場し、彼女の家族も四肢機能障害を持つ子供たちへスポーツを推進する活動をしています。2012年のロンドン・オリンピックでは聖火ランナーになりました。試合が終わればスマイルがかわいい女性ですが、凛として試合に臨むベベ・ヴィオの活躍が個人的にとても楽しみなパラリンピックです。イタリア人選手はフェンシング以外に柔道や、自転車などたくさんの競技に出場するのでぜひご覧ください。

では
                                  (唐木麻美)