「9月のイタリア雑記」

こんにちは。今年は寒さと暑さが目まぐるしく入れ替わるので落ち着かなくて困ったものです。イタリアでは政府機関であるイタリア医薬品庁から新型コロナの3回目のワクチン接種に許可が出ました。アンサ通信によると、感染リスクの高い健康問題を抱えた人たちが優先され、認可されたのはファイザー製とモデルナ製です。健常者は2回目の予防接種6か月後(感染リスクが高い人は28日後)からブースター接種可能になりということです。
 予防接種を巡ってはワクチン反対派(No vax)がイタリア全土で抗議しています。取材していた記者が暴力を振るわれるなど、かなり険悪な雰囲気になっていることが分かります。なぜここまで険悪な様相を呈しているかというと、9月に導入されたグリーンパス(ワクチン接種済証明)の適用範囲が拡大しているからでしょう。当初は限定的で主に飲食店を対象にしていましたが、例えば小・中・高校の敷地内に入る人はグリーンパス提示が年末まで義務付けられました(生徒は対象外)。一方大学では授業に出席する学生にもグリーンパスが適用されています。これで学校関係者や保護者のワクチン接種は事実上義務になったので、ワクチン反対の関係者たちにとっては仕事と信念の激突になるわけですね。政府関係者は最終的には労働者全員に義務付け、これには変異株出現を防ぐ狙いもあると新聞の取材に答えていました。ただしデモは過激になる一方で、先日も暴力的デモを企画したとして8人が検挙されました。今やイタリアの感染者のほぼ全てがデルタ株に置き換わってしまったので、グリーンパス適用拡大とワクチン反対派への風当たりは激しくなる一方でしょう。もっともワクチン反対派の人で感染後死亡するケースが次々と出ているので、ワクチン反対派が今の勢いを保てるとは思いませんが。
 さて9月5日に閉幕したパラリンピック、イタリアは69個のメダルを獲得しました。イタリア人障碍者は人口全体の5,2%(約315万人)で、障碍者スポーツはパラリンピックが終わると日本同様人々の関心はなくなります。また障碍者スポーツの財源も小さいのが現状です。このような状況を考えると新型コロナの経済的悪影響を被らないように祈るばかりですが、今年のイタリア経済は力強く回復しているので先行きは明るさ感じられ、政府も感染拡大に非常に神経を尖らせつつ経済回復を後押ししています。ところでベベ・ヴィオは車いすフェンシングのフルーレBで金メダル、団体では惜しくも中国に負けて銀になりましたよ。Viva!
 話は変わって、去る9月7日バレエダンサー、ロベルト・ボッレの公演がミラノのスフォルツェスコ城で行われました。ピエモンテ州生まれのロベルト・ボッレ(46歳)はギリシア彫刻と呼ばれるほど美しい容姿と情熱的なダンスと演技でミラノ・スカラ座のバレエ団エトワール、アメリカン・バレエ・シアターのプリンシパルを務め、現在は国際的ダンサーとして各国の主要バレエ団にゲスト出演をしています。1765年~1769年に建造されたGuglia Maggiore(ミラノのドゥオモの最も高い塔部)の修復計画の一環としてロベルト・ボッレの公演が企画され、収益は修復事業の資金になります。この時の公演の様子はYouTubeでは残念ながら見つけられなかったので、昨年1月に収録されたアンドレア・ボチェッリとの共演映像(Rai)は素晴らしいです。https://youtu.be/pGnE38xeZnk
またフェデリコ・フェッリーニへのオマージュでステファノ・ボッラーニとの共演も見応えたっぷりです。(Rai)https://youtu.be/tEqRuh5N6WE

ではまた