「新型コロナウイルスとイタリアと音楽業界」

 復活祭だった4月12日時点でイタリアの新型コロナウイルスの感染者156,363人(前日比1,984人増)、死者19,899人(前日比431人増)と9日間連続で死者が減少していることから(重症者も減少)最悪の時期を脱しつつあるのは確実との見方が広がっています。イタリアでは復活祭とその翌日イースターマンデーは祭日で、復活祭を家族仲良く過ごした次の日は友達と郊外へ出かけるのが毎年恒例の習慣です。ですが今年は幾つかの例外を除いて、街のどの通りにも教会にも人影はなく、ローマの多くのレストランではテイクアウト料理を準備しました。ナポリでは建物の屋上でミサを行い、周辺住民はバルコニーからミサに参列しました。

保健省の調べでは4月11日までに亡くなった人は17,916人、83,4%が70歳以上で、平均死亡率12,5%です。“イタリアでは若い人も続々と死んでいるから若い人も危険だ”という日本語配信記事をどこかで読みましたが保健省の分析を見る限りそういうことはなさそうです。年代別に見てみましょう:
0~9歳、20~29歳の死亡率 0,1%
30~39歳  0,4%
40~49歳 0,9%
50~59歳 2,5%
60~69歳 9,2%
70~79歳 23,8%
80~89歳 31,6%
90歳~ 26,3%

さて、イタリアの音楽業界は新型コロナウイルスでコンサートやライブは全て休演になり大変な損害を被っています。イタリア音楽産業協会(FIMI、Federazione Industria Musicale Italiana)のCeoエンゾ・マッツァは音楽配信サービスのストリーミング事業から再出発を図る考えを明らかにしています。音楽配信に対する考え方を業界内で広めることが大事だとも述べています。とはいえいつから日常生活に戻れるのか、見通しが立たないことにいら立ちも。またショービジネスを再生させるにはまずは資金が必要とも訴えています。ショービジネスが壊滅的打撃を受けた代わりに、自宅隔離でストリーミング配信を使う人が増えたので、まずはストリーミング部門を充実させて音楽業界の立て直しを図るということですね。

 感染ピークを過ぎて徐々に新型コロナウイルス以外のことに目が行くようになったイタリア。閉鎖された店舗は何時、どのように解除するのか?州によっては段階的に解除し始めています(時期尚早とも言われている)、そして国民の関心事は経済対策。政府は国内産業に4千億€の大型補助金給付を決定し、また各家庭にも支援金を給付することを決定しました。さて、新型コロナウイルス禍の後の世界はどうなるのでしょうか。